ことわざ辞典

一利を興すは一害を除くに如かず

読み方

いちり を おこす は いちがい を のぞく に しかず

意味

一つの新しい利益や便宜を生み出すことよりも、すでにある一つの害悪・弊害を取り除くことのほうが大切であり、効果も大きいという意味。政策や制度を考える際には、新施策を増やす前に、無駄・不正・危険などの問題を除くべきだという戒めとして用いる。

由来

中国唐代の政治書『貞観政要(じょうがんせいよう)』に見える言葉とされる。同書は唐の呉兢(ごきょう)が、太宗の治世(627~649年)の政治問答などをまとめ、8世紀初頭(おおむね710年頃)に成立したとされる。この句自体は同書中で「古人の言」として引かれており、最初に述べた人物や正確な成立時期は不明である。

備考

主に政治・行政・経営改革など、公共性のある問題について用いる硬い表現。単に新しい試みを否定する言葉ではなく、既存の弊害の除去を優先すべきだという趣旨である。

例文

  • 新しい補助金制度を作る前に、使われていない予算を見直すべきだ。一利を興すは一害を除くに如かず、という考え方が参考になる。
  • 機能を次々と追加するより、まず利用者を困らせている不具合を直そう。一利を興すは一害を除くに如かずだ。
  • 行政改革では、便利な制度を増やすことだけでなく、複雑で不公平な手続きをなくすことが重要である。まさに一利を興すは一害を除くに如かずである。
  • 会社の業績を上げようとして新規事業に投資する前に、慢性的な赤字部門の無駄を減らすべきだ。一利を興すは一害を除くに如かずという。
  • 地域の安全対策では、新しい施設を建てるより先に、危険な交差点を改善するほうがよい。一利を興すは一害を除くに如かずの実践だ。

類義語

  • 一事を生ずるは一事を減ずるに如かず
  • 害を除く
  • 弊害を取り除く