ことわざ辞典

命より名を惜しむ

読み方

いのち より な を おしむ

意味

生命そのものよりも、名誉・評判・面目を大切にするという意味。恥や不名誉を受けて生き延びるくらいなら、命を失っても正しい名や立派な評判を守ろうとする態度を表す。「名」は名前そのものではなく、名声・名誉・家名などを指す。

由来

正確な初出年は不明。武士が戦場で「名」=家名・武名・後世の評判を重んじた中世の価値観に由来すると考えられる。『平家物語』(鎌倉時代前期、13世紀前半成立とされる)などの軍記物語に見られる「命は惜しからねど名こそ惜しけれ」という思想と同系統で、のちにことわざ的表現として定着した。

備考

武士道的な名誉観を背景に持つため、現代では美徳としてだけでなく、過度な面子重視への批判として使われることもある。

例文

  • 不正を隠せば出世できたかもしれないが、彼は命より名を惜しむ思いで真実を公表した。
  • あの武将は、降伏して生き延びるよりも、命より名を惜しむ道を選んだと言われている。
  • 会社の評判を守るためとはいえ、命より名を惜しむような無理な働き方を社員に求めてはいけない。
  • 祖父は昔気質の人で、どんなに損をしても約束だけは破らず、まさに命より名を惜しむ人だった。
  • 命より名を惜しむという考え方は立派に聞こえるが、現代では命を最優先にすべき場面も多い。

類義語

対義語