ことわざ辞典

恒産無くして恒心無し

読み方

こうさん なくして こうしん なし

意味

一定の財産や安定した職業・収入がなければ、人は落ち着いた道徳心や節操を保ちにくいという意味。生活の基盤が不安定だと、心も乱れやすく、正しい判断や品位ある行動を続けるのが難しくなることをいう。

由来

中国戦国時代の思想家・孟子の言葉に由来する。『孟子』梁恵王上にある「無恒産而有恒心者、惟士為能」が典拠で、成立は紀元前4〜3世紀ごろとされる。日本では漢籍の教養を通じて広まり、「恒産なき者は恒心なし」「恒産なくして恒心なし」などの形で用いられる。

備考

漢文由来のやや硬い表現。個人を責めるより、生活保障や雇用、社会制度の重要性を論じる文脈で使われやすい。

例文

  • 奨学金と生活費の心配で勉強に集中できない学生を見て、先生は「恒産無くして恒心無しだ」と支援制度の必要性を訴えた。
  • 社員に高い倫理観だけを求めても、低賃金で生活が苦しければ限界がある。まさに恒産無くして恒心無しである。
  • 治安を良くするには罰を重くするだけでなく、雇用を増やすことも大切だ。恒産無くして恒心無しという考え方だ。
  • 彼は起業に失敗して収入が途絶え、以前のような余裕を失った。恒産無くして恒心無しとはよく言ったものだ。
  • 子ども食堂や住宅支援は単なる福祉ではない。恒産無くして恒心無しで、生活の安定が将来への意欲を支えるのだ。

類義語

対義語