ことわざ辞典

言わぬが仏

読み方

いわぬ が ほとけ

意味

人の欠点や不都合な事実、相手を傷つけたり争いになったりするようなことは、あえて口に出さず黙っているほうがよい、という意味。言えば問題になることでも、言わなければ波風を立てずに済むという戒めである。

由来

「仏」は、穏やかで争いのない状態や、怒り・執着から離れた存在を表す語として用いられている。「余計なことを言わなければ、人間関係に争いが起こらず穏やかでいられる」という考えから生まれたことわざとされる。正確な成立時期や初出は不明だが、近世以前から伝わる「言わぬが花」「知らぬが仏」などと近い発想を持つ表現である。

備考

不正や危険を隠すことまで正当化する表現ではない。相手への配慮や、不要な対立を避けるために沈黙を選ぶ場面で使う。「言わぬが花」と近いが、本句は「言わないほうが無難」という含みが強い。

例文

  • 彼の失敗の理由を皆の前で言えば傷つけるだけだ。ここは言わぬが仏だろう。
  • 取引先の担当者が交代する話はまだ公表されていないので、言わぬが仏としておこう。
  • 義母の料理について正直な感想を尋ねられたが、言わぬが仏だと思い笑顔でお礼を言った。
  • 昔のけんかの原因を今さら持ち出しても関係が悪くなるだけで、言わぬが仏だ。
  • 秘密を知っていても、それを伝えれば友人同士が対立しかねない。今回は言わぬが仏にしよう。

類義語

対義語

  • 言わぬ事は聞こえぬ
  • 言うべきことは言う